東京から戻った

yasuhamu2008-10-28

発表終わりました。凱旋なのかどうかは分からないが、ともかく無事に帰ってきた。質問としては「楽譜」をどう概念的に位置づけるのか(単に楽譜はいろいろあるよというだけなのか)、楽譜からグラフへという流れはあまりに目的論的ではないか、などがあがっていた気がする。こういう質問があがるのも主張の通し方がはっきりせず、単なる楽譜の年代史とも聞こえかねなかったからだろう。いつもと違い、今回の発表では音楽関係者からのコメントをたくさんもらったので、自分が崩そうとしているものと主張したいものをどう伝えたらよいのかを、やっとはっきり意識できた気がする。

とりあえず、比較音楽学という枠に閉じて議論すると、民族音楽の研究者だと思われることが分かったので、もうすこし議論を開かないと・・・。

画像はDayton Clarence MillerがPhonodeikという装置で写真撮影した音波。「音色timbre,tone quality」を分析するために使用された。今回はあまり触れられなかったが、19世紀末には物理学・音楽心理学音楽学に共通して音高が議論の中心だったが、1910年代ごろからは音色や響きsonanceの側面に注目する議論が増えていく。今回の発表では、この傾向を五線譜=楽譜の限界から生じたレコード=楽譜と関係づけ、そこから音楽の聞き方が再編されていく過程を読み取りたかったのだが、どうもうまくいかなかった。発表でいえなかった分は論文にしてきっちり形にしておこう。