2009-01-01から1年間の記事一覧

□読書会 次回の読書会の文献 Henry Jenkins, Convergence Culture: Where Old and New Media Collide Convergence Culture: Where Old and New Media Collide作者: Henry Jenkins出版社/メーカー: NYU Press発売日: 2006/12/24メディア: ペーパーバック クリ…

聞こえない音楽

博論の予備審査が終わる。途中段階のものを聞いていただくのは気がひけたが、議論が断片化しがちなので、全体の構想を聞いてもらえたというのは非常に良い機会になった。制度としてどうかは別として、聞いていただいた方々には感謝しなければ。学会発表より…

音楽と薬

■音楽と薬だいぶ前に書いた音楽と医学の関係について考える素材として、「クスリ」音楽についての資料を集める。医学的な治療薬としての音楽と非合法薬物としての音楽と、薬物と音楽の関係といろいろ探してみる。最近では茂木健一郎が音楽について書いていた…

聴衆の生産

Victor Talking Machine Companyが出版していた本を集める。The Victrola Book of the Opera: Stories of the Operas作者: Samuel Holland-Rous出版社/メーカー: Wildside Press発売日: 2009/01/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブロ…

1900年代から1920年代アメリカのレコード産業でのオペラ歌手の受容を調べはじめる。William Kenneyによれば、この時期にオペラが受容されたことは、蓄音機が家庭内のメディアとして流通しはじめたことと関連している。初期のフォノグラフ・ショーやパーラー…

声のトポグラフィ(2)

論文を直しているうちに、いつの間にか春になっていた。桜も散っていた。とりあえず、ひと段落ついたので、次にとりかかることにする。声のきめの続きだいぶ前に書いた精神分析的な議論では、声は身体に還元されず、内部に隠された欲望の対象を現前させるも…

古文書ツアー

古文書ツアーに行ってきた。考古学的な調査方法、ローカルな政治経済と研究機関の関係、銀山観光のマネキン(あきらかに白人の顔をした代官の人形)などなど、いろいろと考えることのある旅だったが、過酷なスケジュールをとりあえず耐え抜いた。ふだん依拠…

声のトポグラフィ(1)

(1)欲望の対象a=声のトポグラフィ 「音楽、声、言語」でのバルトは「声のきめ」を明確に対象aとして規定している。以前は「声のきめ」は声の物質性、声の身体として議論されていたが、ここでは意味作用から欠如したものとして議論されており、身体の物質…

みっくみく 2

明日から銀山で合宿。銀ではなく古文書を掘り出す魅惑のツアー。■声のトポグラフィ 声の身体についてメモ続き。「声のきめ」という声の物質性、意味作用に還元されない歌う身体の悦楽は、物理的な因果関係という意味での物質性に還元できるのだろうか。声と…

研究会のお知らせ

来週の日曜日3月8日午後2時より、視聴覚文化研究会/芸術学研究会の研究発表会を開催いたします。今回のテーマは「カント感性論の現在形」です。これまでの研究発表会では、メディア(メディア間)あるいは視覚文化・聴覚文化・視聴覚文化のように諸感覚…

みっくみく

時間が経ってしまったので先の日記の続きをうまく書けなくなってしまった。1960年代に出てきたミューザック方式の疲労曲線BGMとかヒーリング音楽と、サイケデリック・カルチャーやレゲエのドラッグ的な音楽の表裏の関係がうまく考えられるかと思ったりしたの…

病理としての音楽聴取

■メモ 映画研究の人にヒステリーと映画の関係について話を聞いているうちにハンスリックが『音楽美学』で議論していた音楽の病理についてふと思い浮かんだ。 ハンスリックは「美的聴取」と対立させて、精神的な契機を欠き、音楽と感情が直接的に連動してしま…

■幽霊の声 声の主体性の裏声としておいおい心霊も重要になるし、おそらく自動人形も関わってくる。文献をチェックしておく。だいぶ前に読もうとしてまだ読んでなかったものHaunted Media: Electronic Presence from Telegraphy to Television (Console-Ing P…

精神分析と声

■音響的鏡 The Acoustic Mirror第一章"Lost Objects and mistaken Subjects: A Prologue"を読む。精神分析的な映画理論からフェミニズム映画批評への導入部となっている。議論の基礎として、シルバーマンは古典的な映画は映像がこうむる対象の不在や欠如に対…

やっぱりデリダ『声と現象』『グラマトロジーについて』も読まないといけない。以前に読んだときの記憶がほとんどない・・・。ドラーがラカン、デリダ、形而上学における声の位置について比較しながら議論しているので参考にしつつ。ドラーは現前の自明性を…

引き続き声文献

前回の補完。ドーンは映画における声の位置(もっとも特権化された映画の音)は精神分析的な意味での「幻想的身体の統一性」を基礎付けるものとして議論されていたことは先日紹介したが、論文の後半部では声がもつ象徴界的な要素にも注意を向けていた。たと…

映画史

■ゴダール『映画史』 文学部の大学院プロジェクトの一環でゴダールの『映画史』上映会をやる。プロジェクターの熱が上がりすぎて投影がとまるというトラブルがおきたが、どうにか最後まで上映できた。ただでさえ映像のスローモーションや停止や沈黙が多い映…

腹話術

Dumbstruck: A Cultural History of Ventriloquism作者: Steven Connor出版社/メーカー: Oxford Univ Pr on Demand発売日: 2001/01/18メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る前回の日記コメントで教えていただいた文献を追加。腹話術は声…

対象としての声

聴衆論とパーソナル・ステレオ論で講義させてもらった。学生にだからどうしたみたいな感想を言われ、ちょっとへこむ。日記も更新せいと言われたので、がんばる宣言。 ■レコードとエンバーミング 二年ほど開いてきたジョナサン・スターンのThe Audible Pastも…