三朝温泉よいところ

学会でもらった袋に入っていたパンフレットやらチケットやらを見ていると、京都で映画祭があるとのこと。≪三朝小唄≫(昭和4年)という映画が目についた。鳥取県西部の三朝町、老人ばかりが目に入る露天風呂で有名な三朝温泉があるところ。風俗の客引きのおばちゃんに女の子と間違えられたところ。いや、それは関係ないか。どうもサイレント映画らしい。

小唄映画というジャンルが存在したらしいのだが、サイレントという技術的制約があるにも拘わらず、地方民謡をテーマにした映画は作られた。あらすじによれば、東京の生年画家が三朝を訪れ、村娘と恋に落ちるのだという。なんてベタなんだ。それはともかくとして、民謡に対する都市的な欲望というものが、村娘の身体を媒介に視覚的に構成されていたということが、いよいよ明らかになってきたのではないか。最近、研究を始めた頃の思惑が見事に裏切られているが、モノをじっと見つめる最中に、思考が脳髄を突き破って芽を出す瞬間は最高にスリリングだ。ビキビキ芽を出せ、俺の中のいろんなもの。いや、まだ見てないんですけどね。

ともかく、こっそり見に行きます。