絵画のエッセンス?

国立国際美術館に行く。「エッセンシャルペインティング」と「小川信治展」

前者は、前衛の義務感に囚われるのでも、アンチ絵画にいそしむのでもない、軽やかに制作された(とも言い切れないのだろうが)90年代の絵画をゆるやかに結びつけようという試みだったと思う。意外にも具象絵画が多かった。展示空間に順路があるでもなく、うろうろと同じ部屋に迷い込みながら、あえてオチを用意しない展覧会の出口なき出口を探すのだった。カタログの写真には現れない、色のにじみ、ボケ、重なりを縦に横に睨みつつ、絵に触るんじゃないかとこちらを睨みつける館員に牽制。ネオ・ルオモの、荒唐無稽でいて、どことなく古典的な絵画に見えてしまう一点透視図法の作品にお尻がそわそわした。絵画展にはあまり行かないが面白かった。

小川信治はガテン系だ。僕だったら、同じような絵を、しかもあれほど細かいものを、ある部分を消したり、足したりして何度も書くことなどできない。服の袖を真っ黒にしながら、写真絵葉書を睨みながら。観覧後にたまたま出会った人に面白さを伝えようとしたが、ガテン系としか言えない自分を能タリンだと思う。