ナイロン製ではだめです

≪三朝小唄≫のジェンダー分析をしていたら面白くなくなってきたので、こんなのを使ってみることに。歌は明るいが歌詞は暗い。どういう気分の歌なんだろう。

木綿のハンカチーフ≫ 歌:太田裕美 作詞:松本隆 作曲:筒美京平
(1) 恋人よ 僕は旅立つ 東へと 向かう列車で
   はなやいだ町で 君への贈り物 探す 探すつもりだ
   いいえ あなた私は 欲しいものはないのよ
   ただ 都会の絵の具に 染まらないで帰って 染まらないで帰って

(2) 恋人よ 半年が過ぎ 逢えないが 泣かないでくれ
   都会で流行の 指輪を送るよ 君に 君に似合うはずだ
   いいえ 星のダイヤも 海に眠る真珠も
   きっと あなたのキスほど きらめくはずないもの きらめくはずないもの

(3) 恋人よ いまも素顔で 口紅も つけないままか
   見間違うような スーツ着たぼくの 写真 写真を見てくれ
   いいえ 草にねころぶ あなたが好きだったの
   でも 木枯しのビル街 からだに気をつけてね からだに気をつけてね

(4) 恋人よ 君を忘れて 変わってく 僕を許して
   毎日 愉快に過ごす街角 ぼくは ぼくは帰れない
   あなた 最後のわがまま 贈りものを ねだるわ
   ねえ 涙拭く 木綿のハンカチーフください ハンカチーフください


 都会へ行った男は帰ってこない。都会へ行った女は田舎へ帰る。この極端な物語の構図は容易に頭に浮かぶ。ただ、どこかで聞いたようなとは思うものの、具体的な映画やドラマは簡単には思い出せない。それだけ記憶にしみこんだ物語ということなのだろうか。
 1970年代にはアンノン族の登場に見られるように、女性も「ふるさと」イメージの消費者になっていくのだけど、歌では相変わらず田舎の女性と都会の男性という図式が残っているような気がする。「私待つわ」的な女性と「私もう帰るわ」的な女性、「俺はもう戻れない」的な男性と「帰ってしまうんだね」的な男性。
 最近では男が田舎に帰る物語も増えたようだが、みんな疲れてるんだろうか。田舎は田舎で仕事もなく大変で、仕方なしにスローライフみたいな人も多い。田舎に残った友人たちはみんな高い車乗って、ばんばん飛ばして、女の子つかまえて峠越え、みたいなことしたいと言っている。