民謡見つけ隊

風邪をひいた。鼻水が緑色で、くしゃみをしたら飛んだ。僕の友人は緑色の便が出て、行ってもいないのに東南アジアの風土病かと疑われたという。人体の不思議。

探していた本がようやく届く。服部龍太郎『日本民謡の発見』(理論社、1958)
売り文句は「埋もれた民族のうたの正しい採譜 カメラでとらえた民俗の詩情」。戦後60年代までの民謡受容を考える参考になればと買ったもの。写真家は田村茂、渡部雄吉土門拳、藤本四八、川島浩(日本の写真を研究している方、いろいろと教えてください)。大正期のものとは異なり、地方の労働の様子をとらえた写真が多い。記述を見ると「最近見ることが少なくなった」であるとか、「この生活を見ることができるのもあと数年かもしれない」であるとか、都市の周縁の終焉を示唆するようなものが目立つ。地方の風景だけでなく、「民俗」への関心が強いようだ。その一方で山間部の民謡においては、山から居住地を見下ろすような風景写真が必ず記載されていた。生活の場所を俯瞰することと、まじかに見つめること。全く性質の異なる二つの視線が、あたかも自然であるかのように並置されている。この点は、大正期の民謡紀行と類似していると言えるだろう。異なるのは民謡と場所を繋留する身体が、ローカル美人ではなく、労働する人への変わっていること。まだ突っ込んでいかなければいけないが、民謡と場所と人の関係がどのように変容したのかを考えるには良い素材かもしれない。同種の『日本民謡の旅』も注文しておいた。

さて明日は京都近美へ。明日までに鼻水を止めておかねば。