集中講義

■集中講義
聴覚文化から視覚文化まで幅広く、エキサイティングな集中講義だった。最終日の今日はブレイクビーツからターンテーブリズム、ブリコラージュと衣装を経て、風景へ。ボブ・ロスは描き手の自由を尊重していたことが分かった。

用があってあまり聞けなかったが、括弧付きの「風景」の議論をもっと聞きたかった。一番面白かったのは、浮世絵においても遠近法が採用されていたこと。視覚文化に関して、柄谷は遠近法の採用に近代的な主体の成立を見たが、近世における浮世絵の遠近法に同様のことは言えるのだろうか。絵画における「風景」の発見は、主体の成立後の問題として語られたが、遠近法の模倣によって近代的なものの見方は獲得されるのだろうか。もう少し考えてみたいところではある。

■ヘッドホンうた
安来節の風景について考えていたら、頭がパンクしそうになったので、別のことを考える。ヘッドホンを歌ったうたを探してみると結構見つかった。その多くは電車に乗り、ヘッドホンで音楽を聞くことを歌っている。歌の中で歌を聴く人はたいてい、ヘッドホンによって自己を閉じ、記憶へと沈潜し、電車の進行とは逆に過去を想起する。エレファントカシマシは「自分の中の宇宙」に飛んで行ってしまう。このとき、音楽メディアはその外の音響空間の再現というよりは、内に裏返っていくような音響空間を立ち上げる。編集によって擬似的な空間が創り出されること、耳を閉じることなど、様々な要素が関わってくる。ステレオサウンドと繋げて考えたら面白いかもしれない。安来節の合間を縫って、音楽メディアとそれに関わるテクノロジーの問題も考えていくことにした。

Strange Sounds

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