CD・テープ・レコード

■マシーン
レコード・テープ・CD一体型ポータブル(取っ手がついているだけ)プレーヤーを落札。これから取りかかる録音メディアの議論を、メディア相互の差異を確認し、テープ録音によって相互の交通を確認するために購入。というのは言い過ぎ。なんとレコードプレーヤーだけなら、もっと安いのがいくらでもあった。しかし、三種のメディアにそれぞれピッチコントローラーがついているのはお得というもの。いつかミュージックコンクレートをやってみよう。

以前、自分でCD・テープそれぞれの再生速度を遅くして聞き比べてみたことがある。デジタルとアナログの差は、点であるか、線であるかにある。簡単に説明すれば、CDは一本の周波数データを小さな点の羅列で表している。サンプリングレート(一秒間に音の標本を採取する頻度)によって点の間隔が変わる、つまり音の情報量が変わる。再生速度を落とせば、音の情報量は少なくなり、音の丸みがとれて、ざらざらとした質感が出る。テープはアナログデータなので、速度を落としても、音はなめらか。速度を変えたとき、アナログとデジタルの相違、それらが音に対してどのような態度をとるメディアなのかが聞こえてくる。

また、テープコンプといって、音量を上げてテープ録音すると音が潰れる(低音が強調され、音が粗くなる)という録音テクニックもある。60年代〜70年代にかけてのレゲエやダブの録音、あるいはロックでも、エフェクタのコンプレッサーだけでなく、テープというメディアをエフェクタとして利用することは当然だった。最近のDTMアプリケーションの中には、テープチューブを再現するエフェクタなんてものもある。90年代のデジタル音楽は電子の夢を追っていたものが多かったが、最近はデジタル技術で過去へ遡ろうとするものが目立つ。ちなみに90年代の民謡CDの声はやたらクリアで、エコーがかかっている。なかなかよろし。