映画を見続けた

結局、ほぼ24時間にわたって映画を見続け、体の動きがぎこちなく、眼だけが俊敏に反応するという体ができてしまった。みんなの綜合評価などはhttp://d.hatena.ne.jp/nobu0125/に後輩のMくんが書いてくれています。

 みんなには不評(普通と言われてしまった)だったけれど、管理・監視をテーマにしたものが多い(ように思われる)SF映画を考えるのに、『ガタカ』は良い導入となるのではないかと思った。タイトルのGATACA(遺伝子の塩基配列)が暗に示すように、この映画では遺伝子操作、遺伝子認証が日常化した世界が舞台となっている。そうした世界で、主人公が自分のID(遺伝子)を偽り、宇宙飛行士を目指す。
 ヒューマンドラマとしての側面は置いておくとして、注目したいのはこのID保証のあり方だ。人の同一性は写真や指紋では保証されない。指先から採血され、指先から赤い血が点のようににじむクロースショットが繰り返されるが、指はその表面の指紋によって同一性を証明するものではなくなったことが示される。また繰り返し示される写真によっては、誰も主人公がその写真の人物ではないことに気付かない。「なんで気付かへんねん」と仕切りにつっこんでいる人がいたが、それは決して不注意のせいではない。写真のもつ記録性自体が、意味をなさなくなっている。視覚的な痕跡「指紋」「顔写真」と不可視の遺伝子、見ることとIDに関わる問題。たしかに全体的にショットはロングショットからミドルショットが目立ち、静的で秩序だっていて、安定した視点を提供しているように思えたが、時折挟みこまれる証明写真、指、一本の髪の毛、眼には見えないほど小さな垢や髯、それらのクロースアップが見ること自体を不安にさせるような気がした。この映画を見たくらいが体力的にはクライマックスを迎えていたけど、面白く見ました。

ガタカ [DVD]

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せっかく見たので他の映画についても、思い出しつつまた書きます。