第2ビル研究会

■聴覚文化読書会
大阪市立大学文化交流センターというところで、読書会。

The Audible Past: Cultural Origins of Sound Reproduction

The Audible Past: Cultural Origins of Sound Reproduction

読んだのは『聞こえる過去』(聞くことのできる過去?タイトルについては思案中)。訳の添削みたいになってしまった。次回からは気をつけます。

メモ→
 スターンの目的は、音響複製技術(sound reproduction technology)に関する物語を再考することにある。その物語とは、音響複製技術が音を音源から切り離して再生産するようになったことで、音はその一過性の性質をいくぶん喪失し、それによって人びとの耳は遠くへと越え出ることができるようになったというものである。こうした物語は音響複製技術が人びとの聴取を変えたという結果から語りはじめることで、音響複製技術を効果(effect)の物語に回収してしまう。それに対して、スターンが議論するのは、科学的な驚異の物語ではなく、諸々の過程−資本主義・科学・合理主義ーなどが交差する点として音響複製技術を再考することにある。
 こうした問題はモダニティと諸感覚の関係を考えることにもつながる。近代とは視覚とイメージの時代だという言い方がなされ、聴覚は近代において無視された感覚だということを、視覚文化の研究者のみならず聴覚文化の研究者も受け入れてきた。聴覚が無視されていたことを悲嘆するに過ぎないため、音の研究者は、音や聴覚の問題に関する議論が多数なされているにもかかわらず、「聴覚文化」や「音文化」というより広い領域の中で「聞くこと」を哲学的に問うことができなかったのである。
 そのため、本書では聴覚を音楽や声といった諸実践をまとめあげるものとして捉え、歴史的・社会的に構築されたものとして総合的に考察し、主体の形成と同時に進行するものとして聴覚の形成を考察する。

訳語の問題
hearingとlistening→聞くことと聴くこと?聴覚と聴取?
reproduction→再生?再生産?複製?

その後は飲み。いつの間にか参加した学部生に進学を思いとどまらせるみたいな話が飛び交っていた。厳しい話しを目上の人に浴びせられていて可哀想だったが、厳しいこと言われてもがんばって欲しいと思う。僕は速記の研究は芸術学じゃないと言われてしまった。芸術学で研究する意味をとうとうと説明することができなかったが、それはまた次回に。