トーキング・マシンの二重性

yasuhamu2007-12-03

カードの支払いを忘れていたら、いつの間にか利用停止になっていた。本が届かないと思っていたら、消費者失格の烙印を押されていたらしい。とても悲しい。

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一章の"Inscriptions and simulations"を読む。19世紀の技術的展開において、「書き取り」と「模倣」というアナロジーがいかに採用され、知覚の問題と関わっていたのかが論じられている。美学会で発表した解剖学的模倣としての「話す機械(talking machine)」と機能的模倣としての「蓄音器(talking machine)」の原理的な非連続性と、受容における連続性が論じられていて参考になった。映画前史的に通過すぎるだけなので結論はなかったが、案外、映画研究の中での音研究の方が議論が整理されているのかもしれない。やはり映画の音研究も同時進行すべきだろうか。積み残していたアルトマンの論文もチェックしておこう。

Sound Theory Sound Practice (AFI Film Readers)

Sound Theory Sound Practice (AFI Film Readers)



内科医のアルフレッド・マーシャル・メイヤー(Alfred Marshall Mayer)なる人物は要チェックらしい。

それで気付いたが、キットラーの「グラモフォン・フィルム・タイプライター」を読んでいて何かしっくりこない感じがするのは、「書き取りシステム(Aufschreibesysteme)」としてキットラーが言説分析する記録プロセスの問題と、再生とその聴取の問題がごっちゃになっているせいではないのだろうか。『書き取りシステム』はまだちゃんと読んでいないので、はっきりとは言えないが、ようやくキットラーのメディア論の方向性が見えてきた気がしないでもない。