比較音楽学と心理学

Comparative Musicology and Anthropology of Music: Essays on the History of Ethnomusicology (Chicago Studies in Ethnomusicology)

Comparative Musicology and Anthropology of Music: Essays on the History of Ethnomusicology (Chicago Studies in Ethnomusicology)

ブルーノ・ネトル編集の比較音楽学と音楽人類学に関する論集があった。比較音楽学についての論文は二本、ひとつはベルリン学派による学としての制度的・方法的な確立とそのアメリカへの伝播についての簡潔な紹介、もうひとつは比較音楽学と心理学理論との関係についての論文。後者はアレクサンダー・エリスとシュトゥンプフを中心に、比較音楽学における音高概念への影響をまとめたものだった。

pitchに関する理論の変化について参考になった。1880年代から1910年代にかけて、音高概念は離散的で単一的な量(周波数)Tondistanzから、質的な特徴Helligkeitと量化可能な要素Tonigkeitが還元しがたく融合したものへ移行していったようだ。この論文では主に音程の位置づけをめぐって議論がまとめられていたが、楽譜の変遷と関係づけられないか、もっと文献をあたってみよう。