音の表記

次に向けて、採譜における五線譜の解体とそれ以後の新しい記譜法を探す。チャールズ・シーガーらが使用したメログラフ(音の高低をグラフ表記する装置、単旋律しか記録できない)をはじめ、いくつかを押さえておく。1930年代以降になるとメログラフのように音高の連続的な変化を記録するグラフ装置についての論文と、それを音楽形式として分析することの不可能さについての論文が同時に増えていく。それだけだと、グラフ的なものへの五線譜の離散ということで終わってしまうので、もうひとつの方向も探していく…が、なかなか出てこない。メログラフのような音の高低の二次元的な表象ではなく、スペクトル分析のようなもっと厚みをもった質的な要素の表象を同時期に見つけることができれば面白いのだけど。継続して探してみる。どなたか良い情報をご存知であれば、ぜひご一報ください。

1890年代のJohn Comfort FillmoreやAlice Fletcherの五線譜をもちいた採譜、和声構造の分析もおさえておく。よく見られる批判では、彼らの研究は相対的な観点の欠如とか科学的な発見にいたる前の未熟な研究として遡及的に位置づけられている。僕の研究は相対主義的な観点やポスト植民地主義的な批判を音楽研究に導入することを目論んでいるわけではないので、そうした批判とうまく距離をとりつつ、楽譜と聴取の関係を位置づけたい。