触れる

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接触と領有―ラテンアメリカにおける言説の政治 (ポイエーシス叢書 (48))

接触と領有―ラテンアメリカにおける言説の政治 (ポイエーシス叢書 (48))

どうもうまく資料が集まらないので(とても不安です)、代替案として旅行記についてもう少し字数を割くことに。ほぼ毎日続けている日本の古本屋ディギングで『民謡の旅』(1930)という本を見つけ、とても良い顔で滑り込むように注文をクリックした。ということで旅行記述に関するテキストを読む。林みどり『接触と領有』。林は植民地の支配者側のテクストを「接触領域(contact zone)」として解釈することを試みる。林は「接触」という観点によって、テクストに織り込まれた他者の抵抗を読み解こうとする。それはサイードの『オリエンタリズム』とは微妙に立場を異にする。

民謡紀行を旅行記述として考えるなら、どのようなことが言えるのか。もし都市からの来訪者と地方民を支配者−被支配者として捉えるなら、旅行記述はオリエンタリズムのような支配的言説として読み解くことができる。そうではなく旅行記述から抵抗の兆しのようなものを読み解くなら、民謡の実践が観光者の眼差しを誘導し、滑らせていく様を見て取ることができるかもしれない。問題はバランスをとること。都市民の声によって安来節を黙らせてしまわないこと、反対に安来節を創造的な抵抗文化として実体化してしまわないこと。二つの対立する文化なのではなく、あくまでなだらかに繋がるものとして捉えなければいけない。そしてそれはとても難しい・・。

接触領域に関してはこちらを参照とのこと。序文だけでも読もうと思う。

Imperial Eyes: Travel Writing and Transculturation

Imperial Eyes: Travel Writing and Transculturation