ノイズレス

■ノイズレス展
京都近代美術館で開かれている「ノイズレス」展に行ってきました。シンポジウムはサウンドを語る際の様々な問題を感じた。現代音楽で音楽という制度が反省され、解体され、その外部としてサウンドを持ち出したこと、加えて視覚中心主義を聴覚の側から揺らそうとしたことも分かる。ただ、サウンド・アートを語る際に言及される聴取のあり方は、音楽という制度からさほど距離があるわけではない。シンポジウムで語っていた人々の語りは、美的聴取と何ら変わりがなかったように思う。サウンド・アートは単に音楽という領域を広げただけのものかもしれない。それならそれで自覚した上で論を進めることはできると思う。禅とかコスモスとかいう言葉で、近代的な聴取制度から逃れることはできない。ではどうすれば良いのか・・・「見る」ということに対して「聴く」ことの重要性を持ち出し、感覚のヒエラルキーを転倒させるのではなく、「聴くこと」を介して視覚と聴覚の関係を精緻に論じる作業が必要であるように思う。

鈴木昭男氏の音具は非常に面白かった。意外にも楽譜を用意して演奏していたようだったが、演奏を聴くよりは音具をいじってみたい。演奏者=聴取者の区別をなくしてしまえば良かったのに。

■録音
録音に関してウェブサイトと本を教えてもらう。
http://history.sandiego.edu/gen/recording/notes.html

The Soundscape of Modernity: Architectural Acoustics and the Culture of Listening in America, 1900-1933 (The MIT Press)

The Soundscape of Modernity: Architectural Acoustics and the Culture of Listening in America, 1900-1933 (The MIT Press)

建築と音響。